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書店にて第4回読書会(書評哲学カフェ)「『呪い』を解く『魔法』の言葉を手がかりに」開催しました

更新日:2022年3月4日

2020年より3ヶ月ごとに神奈川県茅ケ崎市にある老舗書店・長谷川書店さんで開いている

読書会(書評哲学カフェ)。

第4回目は2021年1月16日に開催しました。


今回も❛月子❜がファシリテーター(進行役)を務めました。


課題本には森山至貴『10代から知っておきたい あなたを閉じ込める「ずるい言葉」』(WAVE出版)を、参考図書として上西充子『呪いの言葉の解きかた』(晶文社)、アリストテレス 『弁論術』(岩波文庫 )の2点を選びました。


テーマは「『呪い』を解く『魔法』の言葉を手がかりに」。

新春にふさわしいテーマを、ということで考えました。


「呪いの言葉」というキーワードは、上記『呪いの言葉の解きかた』という本から借用しています。


「呪い」の言葉とは、上西充子氏によれば、言われた側が、本来なら不合理なその内容にもかかわらず思考をロックされ、気力や機会を奪われていくこと。

例えば巷で今でもさかんに言われている「自己責任」という言葉がそれに該当することがあります。

呪いの言葉はじわじわと人々の自尊感情や倫理観を蝕み、民主主義を形骸化させていく力を持ちながら、なかなか人々に気づかれることなく、それゆえに暴かれることもなく温存され、個々人はそれらを内面化していきます。


そのようなファシリテーターの日頃の問題意識に加えて、参加者からの「若い人が書いた、若い人向けの本をとりあげて欲しい」というリクエストも考慮し、選書しました。

森山至貴氏のいう「ずるい言葉」も「呪いの言葉」にあたるとファシリテーターは考えています。


偶然にも「呪いの言葉」に関する記事が、上西氏のコメントとともに年明けの新聞に載っていました。参加者の一人が切り抜きを持ってきてくれました。

まさにテーマがタイムリーであることの証左です。


さて当日は冒頭、全員に「呪いの言葉/ずるい言葉をかけられたことあるか?」と問いかけてみました。

単純に「呪いの言葉祭り」になるかと思っていたら、むしろ「自分が知らずのうちに呪いの言葉/ずるい言葉を人にかけているのではないか?」というのが多くの参加者のリアクション。意外でした。

単に謙虚なのか、子どもの時から親や世間に言われ続けて今さら気づけないのか、

恐らく自分でもすぐにはよくわからないことも多いのではないでしょうか。


自分では絶対手に取らない本という人が何名かいたなか、

話し合っていくうちに課題本の価値に気づいたという参加者もいて、

課題本選者としてホッとしました。


後半は「なぜ私たちは呪いの言葉を内面化してしまうのか?」という問いを立てて、

対話しました。

最終的に人々の分断や孤立化が自分にかけられた呪いに気づきにくい原因となる、

という指摘がなされるところまで行けたのはよかったと思います。深く頷けました。


毎回感じることではありますが、今回は特にファシリテーターの予想を超えるような意義深い意見が多く、鋭くて真っ当、社会や隣人に対する温かい眼差しが感じられて、それが他者に対する信頼の回復に繋がった、とまでいうと大袈裟ですが、「ここにいる人たちのシチズンシップは大丈夫」と何だか妙に安心してしまったのでした。

(やはり読書会/哲学カフェに来るような人達は違うのでしょうか?) 全体的によい会でした、とまるで自画自賛しているみたいですが、

毎度のことながら、参加者たちにこちらの方がいろいろ気づかされ、

そのこと自体がまた楽しかったりするのです。 ファシリテーター一人の自己満足でなく、参加者全員がそう思ってくれたらと密かに願っています。 次回は4月17日を予定しています。

text/Tsukiko







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